の教室
平成20年・夏のお題

本国のスローフード運動にあって、日本のそれにないもの

 〜平成20年・7月7日〜
 本日は、私にとりましても、とっても大切なことなので、
 かなり、辛口です。
 どうぞお許しくださいませ。

 スローフードは、日本ではすでに、死語だ、
 なんておっしゃる方もいらっしゃいます。
 実際、
 私も、日本のスローフード協会員でしたが、ある疑問を感じ、
 現在は会員登録を、更新しないままでいます。
 その疑問に対して、
 私が、四の五の申し上げますよりも、もっと雄弁に語ってくださる運動が、
 こともあろう、
 ウチで扱う食材の生産地を巡って、現在、着実に成果を上げつつ、あります。

 その、食材とは、ハゼ、そして、何あろう、江戸前天然うなぎ。
 運動の場所は、東京湾。
 荒川の隣、江戸川放水路は、夏になると、ハゼがたくさん採れる場所として、
 現在は、釣り人に大変愛されております。
 私も、よく、趣味と実益を兼ねて、ハゼ釣りに行きますが、ここのハゼは、美味しいのよ、ホント。
 その、いつもお世話になっている釣宿のご主人、
 とっても忙しい、カキイレ時のある日、
 店を休んで、一人、東京湾に向けて船を出します。
 聞けば、
 水産庁とも協力して、東京湾沖の、埋め立て用砂利採掘跡の、調査と埋め戻しに、
 周りの釣宿と持ち回りで、出かけているそう。
 そのおかげで、
 近年、この海域での、赤潮・青塩の発生数が、極端に減ってきたんだとか。

 このお話を、もう少し、噛み砕いてお話しますと、
 これは、青潮対策だそうです。
 青潮とは、赤潮よりも、もっとひどい、
 極端な言い換えようをすれば、海が一時的に、腐ったようになる状態。
 とても強い汚臭がして、
 4、5年ほど前、銀座にも、その臭いが漂ってきた年がありましたね。
 東京湾内の、そのメカニズムが、近年、解明できたそうです。
 昭和30年から40年代の、高度成長期、
 東京湾を盛んに埋め立てていた時、
 埋め立ての仕上げ用として、浅い場所の海底から、大量に砂利をすくい出したそうで。
 砂利をすくわれた場所は、湾内の海底に、さながら汚物プールのように横たわり、
 人工的に掘られた、不自然な形のため、海水が循環できないので、
 腐っても、分解しきれない、海の老廃物が、溜まりに溜まる。
 そして、
 台風など、一時的に海水が動いたとき、
 この穴にあった、腐った水が、いっせいに周りの海域にあふれだす。
 これが、青潮。
 プランクトンの大量発生が原因の、赤潮より、極端に多量の生物が、死滅します。
 江戸川の遊漁船団が、埋めているのは、
 まさにこの、青潮の原因になる、汚物プールの海域だそう。
 プールそのものを、埋め戻したり、
 縁を削って、緩やかにして、海水が循環するように改良しているそうです。
 おかげさまで、
 ウチで天然うなぎを扱いだした年には、青潮で採れない時期もあったのが、
 ここ、2年ほどは、その被害も極端に減った、とのお話。
 たいへん、素晴らしいことですネ。

 さて。
 スローフード運動の本国、イタリアで発行されている、期刊誌「スローフード」、
 ここに、最初に提言されているお話のうちに、
   『消え行く貴重な食材を扱う生産者を保護し、
    その生産物に対する認識を、広く行きわたらせ、
    生産物には正当な対価を支払う』
 と、いうものが、あります。
 また、その説明の中で、
   『もっとも忌むべきことは、その生産物を採ることをやめ、忘れてしまうことだ。
    海であれば、
    生産物や漁師を保護すれば、その海域のごみを拾い、漁礁を手入れするなどして、
    いつでも安定した漁獲が期待できるよう、漁師は心がけるだろう
    忘れられれば、
    その海域は無頓着に汚染され、放置され、結果、その海域の魚そのものが絶滅する』
 とも、述べられています。
 そう。
 貴重な種を保護するために、捕獲禁止にする、のではなくて、
 貴重な種を保護するために、漁師を保護する、のです。
 この考え方、私は大好きなんですが、
 と、申しますより、
 私の、生産者様との関係、そのもの、と、大変共感したから、スローフード運動に参加したんですが、
 日本では、、、う〜〜ん。
 難しいんですかねぇ〜。

 江戸川放水路に、美味しいハゼがいる、と、漁師さんたちが言わなかったら、
 そして、それが広く評価されなかったら、
 青潮対策は、されていたかどうか。

 私も、天然うなぎの、マスコミ各局様からの取材に対して、
 嬉しいながらも、お断りしなくちゃならない。
 だって、本当に、取材に耐えられるほど、採れないんですから。
 ヘタに放送していただいて、にわか漁師に漁場を荒らされでもしたら。。。。
 いつも、ドキドキ、しています。
 時には、語気を荒げることも、ありまして・・・、
 ヤヤ〜〜〜〜
 なるほど、イタリア風には、行かないナ〜〜、と、実感しながら、の、毎日であります(^^;


50周年記念に、思いついたこと。

 〜平成20年・6月22日〜
 おがけさまで創業50年、
 何か、記念になる行事を、考えないと。。。
 と、考えては、みたものの、
 なかなか、イイ案が思いつきませんで、
 『50周年記念で、2割引。。ん〜〜・・・』
 と、
 ご常連のお客様にも、ご相談してみたんですが、

 『割引とか、じゃ、つまらないだろ?
  何か、あなたしか、
  出来ないようなことをしたら、ドウ?』

 そう、
 お客様に、叱咤激励していただきまして、
 ・・・。
 ウチにしか出来ないようなこと、となれば、
 どなたにも受けるような事柄では、必然的に、なくなってしまうのですが、
 とりあえず、考え付いたままに、動いてみました。

 で、何をご用意したか、といえば、
 江戸から明治の、古伊万里の、お小皿たち。
 やっぱり、万民受け、しないでしょうけれどネ〜(笑)

 私は、店に使う器をいつも探しているので、
 幸い、骨董品、と呼ばれる器たちに対して、生意気なことを少しだけ、言える程度には、
 良し悪しを見分ける目が、ございます。
 そこで。
 古い店なのだから、『古いもの』を、プレゼントにご用意してみよう・・
 と、
 器屋、骨董商、オークション等々を走り回り、集めてみました。
 写真は、そうして集めた、器たち。
 それぞれの器に、ひと言ずつ、説明のメモを入れました。

 さて、
 あまり、万民受けは、しないものを、プレゼントに用意してしまったので、
 他に何か、選べるものを、ご用意しないといけないですよね。
 と、言うことで、
 古いものの嫌いな方も、いらっしゃるだろうから、と、
 『新しいもの』も・・・
 と、とりあえず、クオカード・・
 こちらは、まだ、注文してません(笑)
 そしてそして、
 物はいらない、と、おっしゃる方も、多いでしょうから、
 『今すぐのもの』と、名前をつけて、
 お好きな飲み物、1杯。
 案外コレが、一番受けるかな〜?(^^;

 本サービスは、ふぐ料理の旬にあわせて、9月16日からを、予定していますが、
 ただ今、7月10日まで、先行サービス中。
 どんな形で、『おかげさまで』を、表したら、よいか。
 無い知恵を絞って、ご用意いたしました。
 よろしかったら、どうぞ、お越しになってくださいませ(^^)


アクがありすぎる独活の、最後の手段!(笑)

 〜平成20年・6月16日〜
 「お〜イ、あきらくん、これ、料理してクレ〜(^^)」
 と、義理の親父が、やけに笑顔で。
 ん、
 こいつは、イヤな予感がするぢょ〜〜・・
 で、もらった包みを開けてみれば、
 ぢゃんぢゃぢゃ〜〜〜ん!
 予感的中!
 見る目にも鮮やかなグリーンの、野生の山独活!
 ひょえぇ〜〜っ
 ♪グリーングリーン 青空に〜は みどり〜あふ〜れ〜〜〜♪
 スミマセン、取り乱しました。
 しばし、深呼吸。。。

  とりあえず、ご説明いたします。
  ウド、独活と、書きますね。
  普段市場に出回っているのは、
  色が白くって、サクッとしているもの。
  これは、
  栽培モノの、白独活(東京ウド)か、
  路地で育てて、伸びるごとに土をかぶせて大きくしたもので、
  こちらが、
  東京で、山ウド、と、俗に呼ばれているもの。
  でも、実は、どちらも、
  自然に生えている独活では、ありません。
  自生の独活は、これら、栽培モノに比べて、
  アクの強さは、およそ10倍! 筋の硬さは、30倍!
  鮮やかなグリーンが、見るからに、硬そう。。
  そのままでは、
  軟弱な東京者には、かなり手ごわい。
  さぁて、どうするか。。。。?

 では、深呼吸、終了。
 なるほど〜、故郷から送ってきた、山独活なのね。
 それなら、料理するべ〜、
 と、気合を入れなおし、
 やおら、ゴム手袋をはめ、
 グリーン独活の皮を、ぐんぐん、小刀でそぎ落とす。
 ほとんど、鉛筆削り状態。
 削りあがった、芯の部分を、ざくざくと、短冊切りにして、水にさらし、
 たぁっぷりのお湯で、ぐつぐつ。ぐつぐつ。2回茹でこぼし、
 最後の仕上げは、八方汁。
 飾りに、削り節を散らして、
 山独活の柔らか煮」 、出来ました!(^^)
 シーズン終盤の、アクの強い独活を、くたくたに煮込んだ、最後の手段。
 しかし、ここまで煮込んでも、
 独特の独活の香りが、心地よし。
 これだから、山菜取りは、やめられませんね〜〜(^^)


古い奴ほど、新しいものを欲しがるモンで・・(笑)

 〜平成20年・6月6日〜
 まぁ〜、気が付いてみれば、
 ウチ以上に、古い感覚を残したお店、
 この新宿には、多いですね〜
 こちとらァ、古ぼけた感じを直したくって、
 年中、
 どっかしらんか、手を入れてるんですが(笑)

 で、
 ウチも、実は古いんですよ、って、言ってみよう、と、
 何か古い時代の写真、ないかな〜?
 と、探して、見つけ出してきたのが、この写真。
 祖母、オヤジ、お袋、そして、
 写っている子供は、残念ながら、私ではなく、
 私の、姉。
 姉が生まれたのは、昭和36年ですから、
 この写真は、今から、エ〜ト・・・、47年前、ですか。

 横にかかっている看板に、
 ふぐさし・180 てっちり・300
 なんて、書いてありますね。
 ひょっとしなくても、単位は、円、です(笑)
 ちなみに、
 今も残っている、この時代のモノ、といえば、
 後ろに写っている『姿』の、暖簾。
 親父がお世話になった先生に、書いていただいたもので、
 何度も作り直してますが、
 材質は、富士絹。字体は、一緒。
 今も、ウチの店頭をたなびいております。

 目にされている方も、いらっしゃると思いますが、
 店の正面のウィンドーの中に、こっそり、飾らせていただいています。
 恥ずかしながら、
 その写真の隣には、正真正銘、私が0歳の時の写真も。
 道行く方たちが、『アレ〜(^^)』っと、懐かしんでいらっしゃる。
 宜しかったら、探してみてくださいませ。

 歴史と申しますものは、
 それ自体は、普段、あまり、意味のあることには、感じられないんですが、
 『昔から、変わらず営業していますヨ』
 と、メッセージがあれば、
 それはまた、落ち着いた気持ちで楽しめる、おいしさなのかもしれない。
 飾ってみて思う、
 不思議で、強い、実感であります。


『もったいない』は、こうして生かす

 〜平成20年・6月5日〜
 大好評を頂いております、江戸前天然うなぎ。
 いつも、入荷は、綱渡りの不安定さですが、
 マスコミ等への取材を、一切お断りして、
 大切に守っております、食材でございます。
 さて、
 天然、と申しますからには、
 食べごろの、大きなサイズばかりが、
 入荷するとは限らない。
 当然、
 串焼きにするには、かわいすぎるような、
 小さなものも混じります。

 さて、どうしましょう。
 ウチまで仕入れて、旅してきちゃいましたからね、
 川や海に、戻す、というわけにも、行かない。
 もったいないな〜〜。
 今までは、私たちのお腹の中に、成仏してもらっていたんですが、
 イロイロ困って、迷って、試行錯誤した挙句、
 小さな佃煮をこしらえてみました。
 これが、中々どうして、ウマイ。
 と、いうわけで、
 晴れて、当店のメニューの、仲間入りです(^^)

 新メニュー、と、申しますものは、
 何もないところから、材料を仕入れて、新しくこしらえるのは、
 実は、ものすごく、簡単なことなんですね。
 でも、
 今まで使ってきたものの中から、いかにして、ロスをなくして、
 新しいものへ活用するか?
 これが、一番、料理人の腕を試される、事柄であります。
 けだし、
 『もったいない』だから、新メニュー。
 で、
 そのまま煮込んだのでは、おいしい佃煮には、なってくれないから、
 イロイロ、でも最低限に、ヒミツの技を使う。
 それが、たまらなく、楽しいんですヨ(^^)

 さて、せっかく出来上がった、佃煮ですが、
 これをこしらえるまでに、ずいぶん、お腹がすいてきちゃいました。
 そこで、
 もうほんのすこしだけ、ヒミツの技を入れて、
 関東の甘いうなタレでも、味のバランスが取れるように直し、
 できあがったのが、写真の、うな茶。
 この上から、このあと、熱い静岡茶を注ぎます。
 だし汁、ほうじ茶なども、試してみましたが、
 うなぎのアク味を、キリッと締めて、
 わさびの香りを引き立たせてくれるためには、なぜか、静岡茶が、一番。
 あらら〜〜、
 もう一品、出来上がっちゃいましたね〜(^^)

 もともとは、小さな天然うなぎのほうが、入荷数は少ないので、
 あんまりにおいしく出来上がった、今日の2品、
 こっちの方が、
 案外に、なかなか作れないメニューに、なってしまいやしないか、
 心配になってしまいました(笑)




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