の教室
平成20年・春のお題

お煙草、ですが・・

 
 〜平成20年・5月15日〜
 煙草を楽しまれる、当店ご利用のお客様には、大変申し訳ないことなのですが、
 2月中旬より、
 当店は、一般席は禁煙にさせていただきました。
 実は、原因は、店内の換気能力。

 店内にある換気扇は、3台。
 厨房との仕切りのない、セミオープンキッチンであるため、
 厨房の大型換気扇も使い、
 今までは、店内換気能力は、施工業者様には、オーバースペック、と、呼ばれていたんです、
 だって、暖房が、あまり効きませんでしたから(笑)
 ところが、
 新宿区が、路上禁煙になり、
 また、都内タクシーの車内も、禁煙になった頃から、
 店内で、お客様のお吸いになる煙草の量が、
 実に、今までの倍以上、に、急に増加してしまいまして。
 換気能力を、大幅に超えて、
 店内が、煙草の煙で、真っ白。
 ・・・・。
 これでは、煙草を吸わない方は、もとより、
 実際に、喫煙されるお客様にとっても、
 まったく、お料理を楽しむどころではないだろう、と、
 他に考える余裕もなく、
 待ったナシ、で、店内禁煙に、踏み切ってしまいました。
 本当に、愛煙家の皆様、申し訳ございませんでした。

 さて、店内禁煙にした後、
 遅ればせながら、
 それでも、何とか、喫煙を楽しまれることが出来る場所を、店内に探していたのですが、
 唯一、見つかったのが、
 なんと、
 店内2階の、貸切用の個室
 今や、ホテルルームでさえ、禁煙室があるのに、
 と、
 禁煙を求める方には、怒られてしまいそうですが、
 慎重に、調べなおしました結果、
 その心配もないことが、確認できまして。
 お煙草をお吸われる方は、こちらでどうぞ、お楽しみいただきたいと存じます。

 以下、
 まったくのPRでございます(笑)

 最近ハヤリの、ついたてやカーテンで仕切られた、簡易個室とは違う、
 きちんとした、4畳半と、8畳。
 今や、新築住宅でも、数少なくなった、襖仕切りの、日本間。
 そこに、
 それぞれ、独立換気の換気扇が、各部屋・2機ずつ、の、余裕の換気能力。
 一日・一部屋あたり、一組だけのご利用で、
 ご利用の都度、徹底した、一斉清掃。
 前のご利用の方の、煙草の臭いも、気になりません。
 その静かさは、一階の一般席でも、証明されている通り、
 街の喧騒の中にいることを、忘れてしまいそうなほど。
 それが、新宿にあります。
 ここで、今までに成功した、ご商談の、膨大な数。
 本当の数は、
 ご宴席にご一緒させて頂きました、私だけが存じております。

 チョッと、誉めすぎましたか、ネ(笑)

 日頃、慣れ親しんでいる職場、というものは、
 案外に、その利点という点に関しては、あまり気が付かないんですが(^^;
 考えてみたら、
 ずいぶんと、大変な宝物を、
 私は持っていたのか、と、気が付いたしだいでございます。




白子のシーズン、終わりの楽しみ。。。

 〜平成20年・4月25日〜
 天然とらふぐの季節も、巷では、終盤。
 あぁん?ふぐ? もう食べたヨ〜
 なんておっしゃる、とってもうらやましい方。
 お出ししている、私は?
 と、言いますと、
 ・・・・。
 いっぺんでイイから、1人前、全部食べたい・・(笑)
 味見では、いつもしますが、
 あくまでも、真剣勝負のため。
 もったいなくってぇ〜(^^;

 さて、前置きが長すぎたところで。
 いよいよ産卵期を迎える、天然とらふぐ。
 仕入れてくる活とらふぐには、
 この時期、とっても大きな白子が入っていることが、よくあります。
 当然、
 中身の流れ出してしまっていることも、あるんですが、
 今年はァ〜、イイですねぇ〜〜(^^)
 イイんですが、
 とってももったいないことに、
 あまりにも多く入荷してしまうので、使い切れないことが。
 そこで。
 なんと、どんぶりにしてしまいました。
 その名も、『白子丼』。
 ベタ、です(笑)

 昆布の出しで、さっと湯がいた、天然とらふぐ白子を、ざっ、と、ご飯の上に。
 仕上げは、ポン酢。
 白子も最高、昆布も最高、使う塩も、当店定番の、小笠原の島塩。
 最高の品質が、3つも。
 となれば、無理にこねくり回すよりも、
 シンプルすぎるくらいが、一番。

 さて、お味は?
 エ?そんなコト言ったって、雑炊よりは旨くないだろ、ですって?
 イヤ、それが・・・・・(^^)

 今の時期をはずすと、お目にかかれない、ゼイタクメニュー、です(^^)


あく抜き、渋抜き、って、ご存知?

 〜平成20年・4月11日〜
 コレは、この間の旅行で買ってきた、コーヒーカップ。
 沖縄の読谷村でこさえられた、作家モノだそうで、
 水色の取っ手が、気に入ってネ〜(^^)
 ところが、
 普通にあく抜きをしても、なかなか、シブが抜けなくて。
 コマッタァ〜〜。。。
 って、
 こんな事、ありません?
 『なんだぁ? あく抜き、って、するの?』
 などとおっしゃる方は、どうぞご一読を。

 初めて買ってきた器は、
 作られた際のアルカリ成分が、そのまま残っていることがあって、
 これが、
 中に入れる食材に溶け出して、味を台無しにしてしまうことが、よくあります。
 そこで、
 使う前に、あく抜きをすると、イイんです。
 さてその、あく抜きの仕方、ですが。

 やかんなどの、ステンレス製の器は、
 いっぱいに水を入れたところに、塩を一つまみ入れて、
 ぐつぐつ、2,3分沸かせば、
 だいたいのアクは取れてしまいます。
 お湯と塩を入れて、30分放っておく、ってのも、効果アリ。
 これで、びっくりするほど、味が落ち着きます。

 むずかしいのは、やはり、陶器。
 表面に細かい穴が無数にあいていて、ここに、アルカリがたまっていますから、
 塩で沸かしただけでは、取りきれないことも。
 そんなときは、
 ご飯と、メリケン粉で、グツグツ。
 たっぷりのお鍋に、お湯と塩、ご飯ひとかけと、メリケン粉小さじ一杯をいれ、
 中に器を沈めたら、
 ひと煮立ちするまで、表面のメリケン粉をかき混ぜ、溶かし入れてあげます。
 あとは、火を細めて、
 10分から、長いときで、半日。
 グツグツ、グラグラ。。。
 気が済んだところで、お鍋ごと、そのまま放置して冷まします。
 まるで、タケノコをゆでるときの要領、ネ(笑)
 びっくりするくらい、鍋汁が汚れているのが、
 アクがとれた証拠。
 写真の器の場合には、
 もう一度、してあげたら、カンペキになりそう〜(^^)

 きちんとアクの抜けた陶器の器は、
 入れた食材や、飲み物が、不思議とおいしくなるものです。
 一度、お試しください(^^)


産地表示、って、イイですネ〜(^^)

 〜平成20年・4月11日〜
 この4月から、築地でも、
 取引きされる食材の産地表示が、厳しくなりました。
 コレは、私も、とっても歓迎。
 もっとも、その理由は、
 お客様とは違う意味かも、しれませんが・・(笑)

 本当のところ、私が仕入れる、
 築地・魚河岸というところは、
 仕入れる側が、目で見て判断するところ、と言う、
 知らない人間が仕入れたら、
 ヘンテコなものをつかまされる事が、日常茶飯事、な、
 危ない場所でも、あります。
 それに、ネ、
 ここが、まさに築地らしいところ、とも、言えるんですが、
 スンゴク良い食材を並べている店に限って、
 その産地を、あまり教えたがらなかったり、するのね(笑)
 やはり、競争原理、ですから。
 「あの港の水揚げされたモンはウマイ」
 なんて話がバレちゃうと、たちどころに広まっちゃう。
 それで、ね、
 「ウマイだろ〜〜うヒヒヒヒィ〜〜〜教えないヨ〜〜」
 って、
 不敵な笑みを浮かべるオヤジから、
 こっちまで、変に、ニヤニヤしながら、買うような、
 そんな、オッカナイことも、
 チョッと前までの、日常茶飯事(笑)
 マ、
 我々は、それでも、自分の目を鍛えて買え!、で、いいんですが、
 それじゃ〜、お教えできないわけですし、
 お客様にとっては、
 コレだけ、ヘンテコな食材が増えている時代に、
 気持ち悪いですものね。

 そんなこんなで、この4月から、
 ウヒヒヒヒィ〜〜、て、言ってたオヤジからも、きちんと産地が聞けるようになった。
 聞いてみると、
 「エ〜?そんなにいい場所から仕入れてたの〜?」
 って、
 こっちの期待値以上の産地をバラしてもらったり。
 おまけに
 「だってサー、あんた、変なの出すと文句言うかラ〜(--;」
 と、
 おだてとも、グチともつかんセリフを言われて、
 あ〜、何とか、自分の目も、確かだったか〜、
 と、あんしん。
 私が、あんしんできたので、
 ウチの店内にも、産地表示を、出してみました。

 「こんなに良い品物を、なんでこんなに無理して安く売ってるの?」
 とは、
 猛禽類のように、目を鍛えた築地の人間には、今までも、当たり前のように言われてきましたが、
 コレが、まごうことない、ウチの食材。
 だから、
 ウチはいつまでも、貧乏なのね(笑)


壁新聞の気持ちで、作ってます(^^)

 〜平成20年3月19日〜
 以前、表紙だけ、ご紹介しましたが、
 これが、
 店内でお配りしている、
 私がこさえた、天然とらふぐの栞の、中身。
 お恥ずかしながら、全部手製(笑)

 よく、お客様から質問される事を、
 イロイロまとめて、ご案内しております。
 最初は、カラーコピーで作っていたんだけど、
 パソコンの先輩から、
 スキャナ、っていうんですか、
 それを使えばもっと簡単なことを教わりまして、
 ああして、こうして、
 気がついたら、もう5年も、
 この栞を、こさえ続けてきました。
 いや〜、
 我ながら、よく続きました。

 1部1部、せっせとこさえたこの小冊子を、
 いつも、テーブルの隅において。
 いらっしゃるお客様の反応を、
 私もそれとなく、うかがってまいりましたが、
 こしらえ始めた頃よりも、
 今のほうが、かえって、
 楽しそうに眺めてくださるお客様が、
 なんだか増えたような、気がして。
 一生懸命、遊んだ甲斐があったな、と、
 それが嬉しくって、
 今日も、せっせと、こさえております。

 上下、同じような記事が並んでいますが、
 下にあるのは、
 これからお配りする、夏用バージョンです。

 最近頂くお話には、
 この、手書きの文字が、いいんですよね〜(^^)
 というものが。
 実際、業者さんに作っていただいたパンフレットよりも、
 こちらの栞をもって帰られる方のほうが、多いかナ・・
 ア、
 私、冗談にも、文字、上手ではありません(笑)
 へたっぴー、です。
 ただ、ね、
 現代人の周りには、とかく、活字があふれているでしょ?
 そのせいかも、知れない。

 活字でなくとも、
 書き文字は、話し言葉よりも、力がありますよね。
 たとえば、
 「今週はここまでする!!」なんていう、
 手帳に書かれた、ノルマ文字や、
 おこりんぼ文字、泣き文字、時には、おどし文字・・(^^;
 そんな時に、
 ただ、『こういうのが、おいしいヨ〜』、とだけ、
 いっぱい並んでいる、この小雑誌の文字や、さし絵たちは、
 なんだか、ユルくって、
 いいんですって。
 ほ〜〜。
 なんだか、言われた私のほうが、ユルユルになっちゃいました(笑)

 料理、って、不思議ですよね〜
 素材を集める立場の、私たちは、いつも、それは厳しい目で、仕入れているわけですが、
 おいしいものを食べたいときは、
 実は、
 そんなこと、あまり、考えないほうが、幸せです、
 ただ、ユルユル、と、食べたい・・(笑)
 そこが、
 安心してお料理を楽しんでいただく、という事の、
 むずかしくもあり、面白くて仕方ないことでも、ありますネ。

 蛇足ながら、夏バージョンの、ページ下のさし絵は、
 当時8歳だった、私の長女の、落書き。
 ユルユル、してるでショ〜(^^)


見た目は、おいしくなさそうですね〜(^^;

 〜平成20年3月18日〜
 あ゙〜〜、
 イッパイ漬かりましたネ〜
 マスクメロン。
 それにしては、
 あんまりおいしそうにないですね〜(笑)

 実はこのメロン、
 こさえたマスクメロン酒から、とりだしたもの。
 本体のメロン酒は、
 このあと、もう3週間程度、熟成させます。

 レシピは、以下の通り。
  マスクメロン1kg 氷砂糖500g 焼酎1升
  コレを漬け込み、3、4週間ほどで、出来上がり。
 ・・なんです、が、

 今までも、イロイロ、
 果実酒をこさえてるんですが、
 この、マスクメロンだけは、むずかしくってネ〜
 糖度が高く、そのうえに、強力な酵素まで、自分で持っているので、
 とっても、自然発酵=腐敗しやすいんですね。
 漬け込む際、
 少しでも、果実や種が、外気にさらされると、
 そこから腐敗してしまいます。
 そして、・・・まだあるんカイ、と、言いたくなりますが、
 軽くて、浮きやすいの(笑)

 さて、いろいろあるハードルを超えるため、
  メロンは食べ頃の一歩手前の、少し硬めのもの。
  果実を切ったら、種ごとすぐに、密閉ビンへ。
  浮き上がったメロンの上に、重しに磁器製の小皿を、そうっと置いて。
 などなど、
 さまざま、工夫をしますが、それでも、種やオリが浮いてきます。
 毎日、これらを丹念に、清潔な網杓子で取り除き、
 ついでに味見。
 メロン本体から、さわやかな香りが全部、出きってしまうと、
 今度はアク味、渋味が出てきてしまいます。
 少しでも、渋味が出そうになったら、
 メロンを全部、潰さないように、そっと取り出して、布で漉してオリを取り・・・。
 と、
 そこまで終わった、お疲れ様のメロンが、写真のメロン。
 今回は、10日ほどで、取り出しました。
 酔っ払いメロン、
 と言えるほど、悠長な代物ではなくって、シブシブ、シブ〜〜〜ッと、渋いです(笑)

 昨年は、とっても良いデキのものが、1回だけできたのに、
 お客様の目の前で、ビンを割っちゃいまして。
 あ〜〜〜あぁ〜〜。
 でも、今回は、何とか、いいメロン酒が、楽しめそうです。

 では、メニューに書き添えますまで、
 あと、3週間ほどの、ご辛抱を。。。。


肉も手切りで、ウマクなるんだナァ〜(笑)

 〜平成20年・3月13日〜
 しゃぶしゃぶや、すき焼き。
 このお肉も、
 実は、手で切ったほうが、おいしくなります。

 薄く切るために、まずは冷凍。
 半分解凍したところで、
 普通は、カッティングマシンで切るところ。
 これを、手間ひまかけて、手で切っていくと、
 コレがウマイ。

 最初は、どうしてそうなるのか、わかりませんでした。
 どうやら、ツマの時とは、話が違う。
 大変だし。
 でも、切った肉をなべに入れて、観察して、
 どうやらその秘密が、わかったようです。

 手で切った肉を、おなべで火を通していくと、
 機械で切ったときのような、ツルンとしたゆで上がりではなくって、
 強いてあげれば、表面が若干、ごつごつしたような、
 そんな雰囲気のゆで上がりになります。
 きっと、
 手でグイグイ、切り分けることで、
 切られた肉の表面が、程よい感じに荒れてくれる。
 それが、
 舌の先で、おいしい食感になる、らしい・・・
 慎重に観察して、初めてわかったことであります。

 おかげさまで、おいしい、と、判ったからには、続けているんですが、
 相手は、冷凍肉、でショ?
 ご予約なしに、1日に10人前も切ってしまうと、
 簡単に、腕が腱鞘炎になってしまいますので(^^;、
 ウチでは、一度に6名様以上は、お受けできない。
 う〜〜む、
 私は、しゃぶしゃぶ専門店の職人さんには、なれませんネェ〜(笑)


ツマは手切りで、ウマくなる。。

 〜平成20年・3月13日〜
 よく見りゃアラのやたらと目立つ、
 大急ぎで私がこさえた、コレが大根のツマ。
 良いお店にいらっしゃると、
 お刺身が乗っているツマが、
 とっても細いのに、シャキッとしてますよね。
 エ? 切ってからすぐに出したからだ、ですって?
 だって、
 スーパーで買ってくるツマは、太い割りに、ベッチョリ、だ?
 ハ、それは、おっしゃるとおり。

 本当のことを申しますとね、
 久しぶりに、チョッと意地悪なクセが、出ちゃったのね。
 最近、とある板前さんのお話で、
  ツマを細く切ってもシャッキリ、なんて、料理漫画だけの話、
  細く切るなら、機械で切る、
  手仕事で、ものすごく細く切ったのに、ベッチョリしてるのは、当たり前ディ
 ってな、そんな記事を見てしまったものでね。
 こりゃ〜、同じ職人として、イカンだろー、と。

 例えば、この写真のツマは、
 切ってから、約5時間が経過しています。
 丸1日くらいの間は、切った後のシャッキリ感が、残っています。
 1本の太さは、だいたい1ミリ以下、かナ〜?
 和食に限らず、
 職人はもともと、ウデをひけらかさないのが、イキ。
 だけど、
 当世、何も言わないでいると、わかって頂けないで、カエリになっちゃうからね。
 チョッとだけ、ひけらかします(笑)

 大根をむいているときも、刻んでいるときも、
 上から押し付けて切るんじゃなくって、
 必ず、いつも垂直に、包丁を滑らせながら切る、
 そうして、大根の繊維を、きちんと垂直に切り分けてやると、
 切って水にさらしてから、その水を切ったとき、
 細くても、シャッキリ感のあるツマができる。
 言うは簡単。
 やるには、・・10年選手か?(笑)
 当然、職人だって、得意・不得意、あるんだもの。
 機械でやったら、ゼッタイムリ。
 手で切って、機械以上に切れるから、の、職人技、熟練技。

 職人の腕の見せどころ、なんて事を、よく申しますが、
 案外、職人、ってぇのは、
 素人さんの見えないところに、イッチバン、腕をフルっていたり、するんですヨ〜(^^)


本物は、あたりまえだけど、大変。

 〜平成20年・3月10日〜
 当店のお客様から、笑顔で、
 『コレ、本物、ですよね?』
 と、
 訊ねて頂く機会が、とっても増えました。
 とりもなおさず、
 最近の、食料の安全性の問題から、でしょう。
 私は、その昔、
 『メシ屋にしては、あるまじき経営姿勢』
 などとも言われた、
 『自分が納得できんものは、料理に出さない』
 その姿勢で、
 儲からずとも、今までやってきたもので、
 最近急に、風向きが変わったことに、
 ただただ、
 ビックリするばかりであります。

 天然とらふぐに限らず、江戸前・天然うなぎ、
 果ては焼酎・百年の孤独にいたるまで、
 いわゆる、本物、と、呼ばれるものは、
 安易に、その価値以上の高値で、取引されて欲しくない。
 だって、
 生産量が、おのずから、限られているんですから。
 飾らず、ぶっきらぼうなところもあり、一見したところでは、それらしくも、ない。
 ブームの時だけもてはやし、終わったら次、といったものでも、決してない。
 こっそりと、でも、しっかりと、
 大量生産できないからこその、信用を大事にした食材たちです。

 チョッと前までは、
 大きなお店、たくさんあるお店、宣伝の大きなお店様が、味への信頼もあったと存じます。
 しかし、
 私どもが、あえて小さな店での営業に留まっているのは、
 とりもなおさず、
 扱う食材たちが、数少ないものであるからに、他なりません。
 安易に儲け主義に走って、品質を落としてしまっては、結局は長続きはできない。
 私たちが、日頃、当たり前として精進しております、このことは、
 他のお店様には、いまや、
 到底真似のできない、大変なことであるそうでございます。

 なかなか雑誌に載っていないから、店が探しにくい、等、
 苦言も頂戴しておるのですが、
 今後も、たまに紙面に載せては頂いておりますが、大きな広告展開は、予定しておりません。
 皆様には、
 新宿の雑踏で、何とか当店を探し出していただく以外に、お目に留まる機会はないと存じますが、
 『たまには、本物を味わってみたい』、
 そんなときには、どうぞ、暖簾をくぐってみてくださいませ。




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